生活保護は生活困窮者の保護を行う制度ですが、国は積極的に生活困窮者を探すようなことはしません。
生活保護を受けるには自ら申請することが求められます。
この記事を読めば、生活保護を受けるための「申請手続きの流れ」や「受給開始後の福祉事務所の対応」を知ることができます。
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生活保護の申請から決定までの流れ
生活保護の申請手続きの流れは下記のようになります。
流れ | 内容 |
福祉事務所に行く | ・市区町村役場や福祉事務所(市区町村役場内にあることが多い)に行き、生活に困っていることを伝える |
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面接相談 | ・相談員(ケースワーカー)により面接相談が行われる ・現在の生活状況、収入や資産の状況などを伝え、ほかに利用できる制度はないか、今後の生活をどうしたらよいかなどを話し合う |
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申請受付 | ・生活保護を申請するしか方法がないと判断された場合、保護の申請をすることになる |
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資料調査 | ・申請に基づいて、ケースワーカー(現業員)が世帯の収入や資産の有無やどの程度、扶養義務者から援助が受けられるかなどを調査する |
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保護の要否判定 | ・調査に基づいて、申請者に保護が必要かどうかの判定を行う |
⇩ | |
保護の決定 | ・福祉事務所は、保護の必要があるときは生活保護の適用を決定し(保護の決定)、保護の必要がない時は申請却下を決定する 福祉事務所の決定に不服の申請者は、通知を受け取った日の翌日から 60日以内に知事に対して審査請求ができる |
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生活保護費の受給 | ・生活保護の適用が決定されると、通常は窓口に来所するように指示され、その場で第1回目の保護費が渡される ・保護受給中は定期的に担当のケースワーカーの家庭訪問がある |
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受給後の生活 | ・生活の向上や健康の保持増進に努める ・収入や支出その他の生計の状況を適切に把握する |
詳細についてさらに解説していきます。
申請ができる人
生活保護の申請をすることができるのは、原則として本人または家族(配偶者や子、両親などの扶養義務者)になります。
国の方から進んで生活困窮者を探して保護をしてくれるというわけではなく、本人などによる申請が必要になるということは知っておく必要があります。
ただし、本人に緊急の病気・ケガといった事態が生じ、自ら福祉事務所を訪問することができないようなケースでは、福祉事務所の職権によって保護が行われることがあります。
手続きの内容
生活保護を受給するには、まず、生活保護の申請を行う必要があります。
生活保護の申請は、住民票のある市区町村を管轄する福祉事務所で行います。
申請の際には相談員との面接があり、最終的にはさまざまな書類を提出することになりますので、事前に電話で連絡を行ったほうがよいでしょう。
生活保護の申請の際には、保護申請書を作成・提出します。
そのほか、福祉事務所の判断により、資産申告書や給与明細書、就労状況申告書などを提出することになります。
また、本人の収入調査の際、福祉事務所が財産調査を行うこともあるため、調査についての同意書の様式は地域によって異なりますが、記載事項はおおむね掲載した様式のとおりです。
なお、生活保護の受給が行われるかどうかの決定は申請から 14日以内に通知されることになります。
しかし、生活保護の調査は扶養義務者に対して申請者を扶養することができないか確認をとる必要もあるため、決定の通知が遅れる場合もあります。
訪問調査や保護の決定
申請の手続きが行われた後は、福祉事務所の担当員(ケースワーカー)が申請世帯の自宅の訪問調査を行います。
訪問調査では、申請者以外の同世帯員とも面談などを行い、本当に生活保護の支給が必要かどうかの判断材料とします。
これらの調査結果を元にして生活保護の要否判定が行われます。
受給後は福祉事務所の担当者による家庭訪問が行われる
生活保護の受給が決まった後は、原則として申請の日の分から支給が開始されます。
例外的に過去にさかのぼって支給されることもありますが、逆に資産や収入の面から、扶助が必要となる日までは支給されない場合もあります。
生活保護の受給後は定期的に福祉事務所の担当者による家庭訪問が行われます。
生活保護には継続的に支給されるものと、一時的に支給されるものがあります。
一時的に扶助が必要となったものについては、福祉事務所に申請を行います。
生活の維持・向上に努める
生活保護受給者は、生活の維持、向上に努めなければなりません。
そのため、福祉事務所による生活指導やその人の能力に応じた就業を行うことを指導されることがあります。
なお、生活保護の利用世帯は住民税などの税金がかかりません。
しかし、申請以前に税金の未納がある場合は、支払期間に猶予が与えらはしますが、未納分が帳消しになることはありません。
自立した生活が送れるようになったら未納分を納めましょう。
生活保護の停止や廃止が行われる
世帯の合算収入が増えたり、最低生活費が下がった場合には、生活保護の停止や廃止が行われる場合もあります。
一時的に保護が必要でない状態となったような場合には保護の停止が行われます。
停止になってもケースワーカーによる家庭訪問は行われますが、医療費については自分で支払うことになります。
また、約 6ヶ月以上、生活保護が必要ない状態が続くなど、保護が必要でなくなった場合には、保護が廃止されることになります。
福祉事務所の調査権限の拡大や不正・不適正受給の防止
生活保護法には、生活保護の不正・不適正受給を防止することを目的として、下記のような規定があります。
- 福祉事務所の調査権限
福祉事務所の調査権限は受給者の資産および収入だけでなく、就労や求職活動の状況、健康状態、扶養の状況などに及びます。
また、福祉事務所から市区町村長や税務署長など官公署等に情報提供の求めがあった場合、回答することが義務付けられています。 - 不正受給の罰則および返還金
不正受給の罰則は、「 3年以下の懲役または 100万円以下の罰金」です。
また、不正受給をした保護費の徴収にあたって、徴収する額に 100分の 40を乗じた金額の上乗せすることも認められています。
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