社会保障

特別障害者手当とは?支給される金額と認定基準をわかりやすく解説

特別障害者手当とは?支給される金額と認定基準をわかりやすく解説

重度の障害者を家庭内で介護することになると、特別な負担をすることになります。

介護することの負担のみならず、そのためにパートやアルバイトをする時間がなくなることになります。


日本の社会保障には、20歳以上の重度の障害者を家庭内で介護する世帯に「特別障害者手当」を支給しています。

20歳未満の重度の障害児を家庭内で介護する世帯には「障害児福祉手当」が支給されます。


この記事では、特別障害者手当の「支給額」「所得制限」「認定基準」を解説していきます。


 

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特別障害者手当とは

特別障害者手当とは

特別障害者手当とは、精神または身体に著しく重度の障害がある人(特別障害者)を家庭内で介護している場合に所得保障の一環として支給されるもので、家庭における精神的、物質的な負担を軽減す効果が期待できます。


支給対象者

精神または身体に著しく重度の障害があるため、日常生活において常時特別の介護を必要とする状態のある在宅の20歳以上の人に支給されます。


支給金額

支給額は、月額で27,350円です。

なお、一定の所得制限があります。


所得制限

受給資格者(特別障害者)の前年の所得が一定の額を超えるとき、もしくはその配偶者又は受給資格者の生計を維持する扶養義務者(同居する父母等の民法に定める者)の前年の所得が一定の額以上であるときは手当は支給されません。

扶養
人数
受給資格者
本人
受給資格者の
配偶者及び扶養義務者
所得額※① 収入額の目安※② 所得額※① 収入額の目安※②
3,604,000 5,180,000 6,287,000 8,319,000
3,984,000 5,656,000 6,536,000 8,596,000
4,364,000 6,132,000 6,749,000 8,832,000
4,744,000 6,604,000 6,962,000 9,069,000
5,124,000 7,027,000 7,175,000 9,306,000
5,504,000 7,449,000 7,388,000 9,542,000


※①:所得額は、地方税法の都道府県民税についての非課税所得以外の所得等から、医療費控除、障害者控除及び寡婦控除等の額を差し引いた額です。

※②:ここに掲げた収入額は、給与所得者を例として給与所得控除額等を加えて表示した額です。


支給日

特別障害者手当の支給日は、毎年 2月、5月、8月、11月にそれぞれその前月分まで支給されます。


問合わせ先

問合わせ先は、居住の福祉事務所・市区町村役場になります。


特別障害者手当の認定基準

特別障害者手当の認定基準

視覚障害

  1. 両眼の視力の和が0.02以下のもの
    ・試視力表の標準照度は、200ルクスとする
    ・屈折異常のある者については、矯正視力によって測定するが、矯正視力とは、眼科的に最も適当な常用しうる矯正眼鏡(コンタクトレンズを含む。)によって得られた視力をいう

  2. 両眼の視力の和が0.03又は0.04であり、かつ、視野障害が全視野の2分の1以上に及ぶ障害のため、令別表第1第1号と同程度以上と認められ、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものであるときは、令別表第1第8号に該当するものとする
    ・視野は、フェルステル氏視野計若しくは平面視野計又はこれに準ずるものを用いて測定する
    ・視野障害が全視野の2分の1以上に及ぶものとは、白色視標による合同視野の生理的限界の面積が2分の1以上欠損している場合をいう


聴覚障害

  1. 両耳の聴力が補聴器を用いても音声を識別することができない程度のもの
    ・両耳の聴力が補聴器を用いても音声を識別できないものとは、両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもので、全ろうを意味し、重度難聴用の補聴器を用いても、全く音声を識別できない程度のものをいう


肢体不自由

  1. 両上肢の機能障害
    両上肢の機能に著しい障害を有するもの
    ・両上肢の機能を全廃したもの又は両上肢を手関節以上で欠くものについては、令別表第1第3号に該当するものとする。
     なお、両上肢の機能全廃とは、各々の関節が強直若しくは、それに近い状態(可動域5度以内)にあるか又は関節に目的運動を起こさせる能力が欠如(筋力著減以下に相当するもの)していることで、日常生活動作に必要な運動を起こし得ない程度の障害をいう
    ・両上肢の機能に著しい障害を有するものとはおおむね、両上肢のそれぞれについて肩、肘及び手の3大関節中いずれか2関節以上が全く用を廃する程度の障害を有するものをいう。
     なお、この場合肩関節については、前方及び側方の可動域が30度未満のものは、その用を全く廃する程度の障害に該当するものとする。

    両上肢のすべての指を欠くもの
    ・すべての指を欠くとは、それぞれの指を近位節(指)骨の基部から欠き、その有効長が0のものをいう

  2. 両下肢の機能障害
    両下肢の用を全く廃したもの
    ・両下肢の機能の用を全く廃したものとは、各々の関節が強直若しくはそれに近い状態にあるか又は下肢に運動を起こさせる能力が欠如(筋力著減以下に相当するもの)し、起立歩行に必要な動作を起こし得ない程度の障害をいう。

    両大腿を2分の1以上失ったもの
    ・切断を判定する場合、切断肢の骨の突出、瘢痕拘縮神経腫等が存するときは、これらの部分を除いた実用長により判定するものとする。したがって、実用長が計測値より短い場合がある

    両下肢に障害を有する場合で、自己の最大限の努力により室内の歩行が可能な場合であっても、その歩行が身体又は障害そのものに悪影響を与えるものであるときは、歩行可能とはせず、歩行不能に該当するものとする

  3. 体幹の機能障害
    体幹の機能に座っていることができない程度の障害を有するもの
    ・体幹の機能障害は、高度体幹麻痺等を後遺した脊髄性小児麻痺、脳性麻痺、脊髄損傷、強直性脊椎炎等によって生ずるが、四肢の機能障害を伴っている場合が多いので、両者を総合して障害の程度を判定するものとする
    ・座っていることができないとは、腰掛、正座、横座り、長座位及びあぐらのいずれもできないものをいう


内部障害

  1. 心臓の機能障害
    ・心臓の機能障害については、永続する機能障害(将来とも回復する可能性がないか極めて少ないものをいう。以下同じ。)をいうものとする。
    ・心臓の機能障害の程度についての判定は、呼吸困難、心悸亢進、チアノーゼ、浮腫等の臨床症状、X線、心電図等の検査成績、一般状態、治療及び病状の経過等により行うものとし、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される状態にあるものについては、令別表第1第8号に該当するものとする。
    ・令別表第1第8号に該当すると思われる病状には、次のようなものがある。
    次のうちいずれか2以上の所見があり、かつ、安静時又は自己の身辺の日常生活活動でも心不全症状又は狭心症症状が起こるもの。

    (ア) 心胸比が60%以上のもの
    (イ) 心電図で陳旧性心筋梗塞所見があるもの
    (ウ) 心電図で脚ブロック所見があるもの
    (エ) 心電図で完全房室ブロック所見があるもの
    (オ) 心電図で第2度の房室ブロック所見があるもの
    (カ) 心電図で心房細動又は粗動所見があり、心拍数に対する脈拍数の欠損が1分間10以上のもの
    (キ) 心電図でSTの低下が0.2mv以上の所見があるもの
    (ク) 心電図で第1誘導、第2誘導及び胸部誘導(ただしV1を除く。)のいずれかのT波が逆転した所見があるもの



    ・前記ウのほか小児の心臓機能障害で令別表第1第8号に該当するものと思われる病状には、次のようなものがある。
    原則として重い心不全症状、低酸素血症又はアダムス・ストークス発作のため継続的医療を必要とするもので、次のうち6以上の所見があるもの

    (臨床所見)
    1 著しい発育障害
    2 心音心雑音の異常
    3 多呼吸又は呼吸困難
    4 運動制限
    5 チアノーゼ
    6 肝腫大
    7 浮腫

    (胸部X線所見)
    8 心胸比56%以上
    9 肺血流量の増加又は減少
    10 肺静脈のうっ血像

    (心電図所見)
    11 心室負荷像
    12 心房負荷像
    13 病的不整脈
    14 心筋障害像



  2. 呼吸器(呼吸器系結核及び換気機能)の機能障害
    ・呼吸器の機能障害については、永続する機能障害をいうものとする
    ・呼吸器の機能障害の程度についての判定は、予測肺活量1秒率(以下「指数」という。)及び臨床症状によるものとする。ここでいう指数とは、1秒量(最大努力下の最初の1秒間の呼気量)の予測肺活量(性別、年齢、身長の組合せで正常な状態ならば当然あると予測される肺活量の値)に対する100分率である

  3. 腎臓の機能障害
    ・腎臓の機能障害については、永続する腎機能不全、尿生成異常をいうものとする
    ・腎臓の機能障害の程度は、慢性透析療法を行う必要があるものについては、当該療法実施前の状態で判定するものとする

  4. 肝臓疾患
    ・肝臓疾患による病状の程度についての判定は、おおむね3か月以上の療養を必要とし、悪心、黄疸、腹水、肝萎縮、肝性脳症、出血傾向等の臨床症状、肝機能検査成績、一般状態、治療及び病状の経過等により行うものとする

  5. 血液疾患
    ・血液疾患による病状の程度についての判定は、おおむね3か月以上の療養を必要とする者につき、一般状態特に治療及び病状の経過に重点をおき、立ちくらみ、動悸、息切れ等の臨床症状、血液学的検査成績等により行うものとする


精神の障害

  1. 精神の障害は、統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害、気分(感情)障害、症状性を含む器質性精神障害、てんかん、知的障害、発達障害に区分し、その傷病及び状態像が令別表第1第9号に該当すると思われる症状等には、次のようなものがある
    ・統合失調症によるものにあっては、高度の残遺状態又は高度の病状があるため、高度の人格変化、思考障害、その他妄想、幻覚等の異常体験が著明なもの
    ・統合失調症型障害及び妄想性障害によるものにあっては、残遺状態又は病状が前記アに準ずるもの
    ・気分(感情)障害によるものにあっては、高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり頻繁にくりかえしたりするもの
    ・症状性を含む器質性精神障害(高次脳機能障害を含む。)によるものにあっては、高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なもの
    ・てんかんによるものにあっては、十分な治療にかかわらず、てんかん性発作を極めてひんぱんに繰り返すもの
    なお、てんかん発作については、抗てんかん薬の服用や、外科的治療によって抑制される場合にあっては、原則として認定の対象としない
    ・知的障害によるものにあっては、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難なもの
    ・発達障害によるものにあっては、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動が見られるもの

  2. 精神の障害の程度については、日常生活において常時の介護又は援助を必要とする程度以上のものとする


20歳未満の児童を家庭で介護している場合

20歳未満の児童を家庭で介護している場合

「特別障害者手当」は、20歳以上の方を家庭で介護する場合に支給されます。

20歳未満の児童を家庭で介護している場合には、「障害児福祉手当」が支給されることになります。


つまり、現在、20歳未満の精神または身体に障害のある児童を養育している場合、その児童が歳を重ね20歳以上になると特別障害者手当に変わり支給されることになります。

ただし、重度障害者にかぎります。

 

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