次の就職先が決まっていない人にとっては、退職理由が自己都合になるか会社都合になるかは重大な関心事項です。
ご存じの方も多いかと思いますが、退職理由が会社都合になると、基本手当(失業手当)の給付期間が長くなるからです。
この記事では、倒産や解雇以外で会社都合になる場合を具体例をあげて解説していきます。
倒産や解雇以外で会社都合になる場合
基本手当(失業手当)の給付内容は、退職理由が自己都合か会社都合かによって大きく異なります。
会社都合の退職は、特定受給資格者として扱われるため、所定給付日数が自己都合の場合と比べて最長で180日多くなります。
また、自己都合の退職は、正当な理由によるものでなければ、給付制限が課されます。
会社都合の退職として代表的なのは、倒産や自分には何の落ち度もない解雇ですが、この2つ以外にも会社都合の退職として扱われる場合はいくつかあります。
その例として下記の5つがあります。
- 長時間労働に耐えられず辞めた場合
- 会社の理不尽な退職強要で辞めた場合
- 契約期間満了で辞めた場合
- 契約書に書かれている労働条件と実際の労働条件に極端な乖離あった
- 会社の業務に法令違反があった
それぞれわかりやすく解説していきます。
長時間労働に耐えられず辞めた場合
長時間の残業を強いられたため耐えられなくなり退職した場合には、会社都合の退職になる場合があります。
具体的には、労働基準法で定められた基準を超える時間外労働を、退職直前の6ヶ月のうち3ヶ月連続して行っていた場合です。
時間外労働とは、法定労働時間(原則週40時間)を超える労働のことをいいます。
労働基準法は、この時間外労働の上限時間の目安(基準)を定めています。その時間は1ヶ月で45時間です。
したがって、退職直前の6ヶ月のうちに3ヶ月連続して、月45時間以上の残業を強いられていたため退職したのであれば、会社都合の退職として扱われます。
また、1ヶ月で100時間、2~6ヶ月平均で80時間を超える時間外労働が行われた場合も同様に会社都合の退職として扱われます。
会社の理不尽な退職強要で辞めた場合
会社による不当な退職強要があり、やむを得ず退職した場合は、会社都合の退職になります。
具体的には、直接的、間接的な退職の勧奨、人事異動の名を借りた退職の強要、いじめによる退職の強要などがあった場合です。
たとえば、長い間営業の仕事一本で勤めていた人を全く経験のない経理部門に異動させた場合、介護が必要な家族がいる人を単身赴任が必要な地域に移動させた場合などです。
いじめによる退職の強要とは、薄暗い個室に閉じ込められたり、業務に関係のない作文を毎日書かされるケースや、上司や同僚から連日「バカ」などの罵声を浴びせられるケースがこれにあたります。
契約期間満了で辞めた場合
契約期間を定めて働く人が、通算3年未満で契約期間満了により退職する場合には、どちらが契約更新を断ったかにかかわらず、給付制限がつきません。
さらに契約期間満了で退職した人が、一定の要件を満たした場合には、特定受給資格者(会社都合)として扱われ、所定給付日数が優遇されます。
その条件は下記の3つのです。
- 過去に契約を更新していること
- 現在の職場に3年以上勤務していること
- 労働契約の更新を希望していた
ただし、定年後再雇用者のように契約更新の上限がたとえば、65歳と決められていたような場合で、その期限が到来したことにより離職した場合にはこの基準には該当しません。
また、期間を定めた労働契約を結ぶ際に、契約を更新することが明示(口約束でも可)されていたにもかかわらず、契約が更新されなかった場合には、特定受給資格者(会社都合の退職)として扱われます。