親の介護と仕事を両立するのは大変です。
企業が従業員向けに開く介護セミナーでは、相談が増加しているといいます。
介護施設ではなく自宅などで介護をする場合は家族の負担が大きくなりやすいです。
公的介護保険や介護休業といった制度の大まかな内容と相談窓口を知っておきましょう。
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在宅で介護をする人は55・6%
在宅で介護をする人は少なくありません。
生命保険文化センターが過去3年間に介護経験のある人に介護をした場所を聞いたところ、「自分の家」「親や親族の家」を合計した「在宅」が2018年度に55・6%と「施設」の42・4%を上回りました。
親が住み慣れた自分の家での介護を望んだり、公的施設で希望者の多い特別養護老人ホームに入居できなかったりすることが背景にあります。
在宅介護の費用は月平均4万6000円
在宅介護で費用はどれくらいかかるのでしょうか。
同調査によると、月平均費用は4万6000円です。
介護期間は在宅と施設を含めた全体の平均で約4年7カ月なので、単純計算では介護期間中に約250万円かかることになります。
これに住宅改装や介護用ベッドの購入といった一時費用の約69万円を加えると、合計で約320万円となります。
ただし、これはあくまで平均値。親の健康状態や必要な介護サービスによって金額は膨らむ可能性があります。
公的介護保険によって費用の1~3割を所得に応じて負担
公的介護保険は在宅で介護をする場合、要介護度に応じて1カ月当たりの支給限度額が決まっており、利用者はこの金額の範囲で介護サービスを利用することになります。
実際にかかった費用の1~3割を所得などに応じて負担する仕組みです。
介護度が要支援1なら月5万320円の範囲で、ホームヘルパーが来て入浴・排せつの介助などをする訪問介護、施設に通って健康チェックや機能訓練などを受けるデイサービスといったメニューを組み合わせます。
要支援なら市町村が設置する地域包括支援センター、要介護なら居宅介護支援事業所でケアマネジャーなどと相談するのが基本です。
超過分は全額自己負担
支給限度額を超えてサービスを利用することもできますが、超過分は全額自己負担となります。
公的介護保険の対象外の費用も自己負担です。
例えばデイサービスでの食事代や個人の日用品代、施設に短期間入所するショートステイの居住費などがあたります。
訪問介護を受けた際にペットの世話や同居家族の部屋の掃除なども頼むと実費になります。
費用を抑える制度として高額介護サービス費がある
公的介護保険の支給限度額の範囲で利用しても、介護度が高くなれば負担は重くなりやすいです。
費用を抑える制度として重要なのが高額介護サービス費です。
1カ月の自己負担額が一定の上限を超えた場合に申請すると、超過額を払い戻してもらえます。
負担限度額は所得区分で決まり、住民税課税世帯で年収約770万円未満なら月4万4400円です。
公的介護保険の対象外のサービスでも自治体の補助制度がある場合は利用しましょう。
費用がかさみやすいおむつ代のほか配食サービス、理美容などを補助する場合があります。
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介護を理由に離職する人は約7万2700人
介護費用の負担軽減と並んで重要なのが介護離職を避けることです。
厚生労働省の雇用動向調査を基に試算すると、「介護・看護」を理由に離職した人は20年時点で約7万2700人でした。
家族の介護が必要になりやすい40~50代では介護離職後の再就職率が低く、自分の家計が苦しくなりかねません。
仕事と介護の両立を考えることが大切です。
介護休業と介護休暇を利用しよう
介護離職を避けるためには、まず介護休業と介護休暇の仕組みを把握しておきましょう。
いずれも介護が必要な家族を抱える従業員を支援する公的制度で、家族が2週間以上の常時介護が必要な状態にあることなどが条件となっています。
介護休業は対象となる家族1人につき通算93日取得でき、最大3回に分割することも可能です。
休業中は原則として無給ですが、雇用保険に加入し一定の条件を満たしていれば介護休業給付金を受け取ることができます。
給付金は月賃金の67%が原則で、上限は約33万円となっています。
一方、介護休暇の日数は対象家族1人につき年5日、2人以上は年10日までです。
21年1月から時間単位でも取得できるようになりました。
介護休業と同様、休暇中は原則として無給ですが、勤務先によっては有給とするケースもあります。
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