有給休暇は労働者に与えられる休暇を取得できる権利です。
有給休暇の取得には条件があり、労働者であれば誰にでも与えられるものではありません。
この記事では、有給休暇が付与される「日数」や「条件」、「有給休暇に対して支払われる賃金」などを分かりやすく解説していきます。
有給休暇とは
有給休暇は正式には年次有給休暇といい、心身のリフレッシュなどを目的に付与され休暇中も賃金が支払われる制度です。
入社から6カ月間継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した従業員への付与が法律で義務付けられています。
正社員だけでなく、アルバイトやパートといった全ての従業員が取得できますが日数は労働時間などで異なります。
発生した日から2年で権利が消滅しますが、それまでは持ち越して取得できます。
有給休暇が付与される日数
正社員など勤務時間が週30時間以上や週5日以上だと原則として年10日取得できます。
勤続年数に応じて最大20日まで段階的に増えます。
アルバイトやパートなど、勤務時間が週30時間未満の場合は勤務日数と勤続年数で異なります。
勤務日数が週1日だと1~3日、4日は7~15日となります。
有給休暇が付与される条件
年次有給休暇の発生条件は、雇入れの日から6か月継続勤務しており、全労働日の8割以上出勤していることです。
継続勤務とは
事業場における在籍期間を意味し、勤務の実態に即して実質的に判断されます。
例えば、定年退職者を嘱託社員として再雇用した場合などは、継続勤務として扱う必要があります。
出勤率算定に当たっての留意点
- 業務上の怪我や病気で休んでいる期間、法律上の育児休業や介護休業を取得した期間などは、出勤したものとみなして取り扱う必要があります。
- 会社都合の休業期間などは、原則として、全労働日から除外する必要があります。
有給休暇の取得時季
年次有給休暇を取得する日は、労働者が指定することによって決まり、使用者は指定された日に年次有給休暇を与えなければなりません。
ただし、労働者の指定した日に年次有給休暇を与えると、事業の正常な運営が妨げられる場合は、使用者に休暇日を変更する権利(時季変更権)が認められています。
時季変更権が行使される条件
時季変更権の行使が認められるのは、例えば同じ日に多くの労働者が同時に休暇指定した場合などが考えられます。単に「業務多忙だから」という理由では、時季変更権は認められません。
有給休暇は最低でも5日取得しなければいけない
年次有給休暇は、原則として、労働者が請求する時季に与えることとされていますが、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対しては、年次有給休暇の日数のうち年5日について、使用者が時季を指定して取得させることが必要です。
これを、「年次有給休暇の時季指定義務」といいます。
年次有給休暇を5日以上取得済みの労働者に対しては、使用者による時季指定は不要です。
有給休暇の時季指定義務の注意点
- 使用者は、時季指定に当たっては、労働者の意見を聴取し、その意見を尊重するよう努めなければなりません。
- 使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。
有給休暇に対して支払われる賃金
有給休暇に対しては、原則として、下記のいずれかを支払う必要があります。
①労働基準法で定める平均賃金
②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、
③健康保険法に定める標準報酬月額の30分の1に相当する金額
このいずれを選択するかについては、就業規則などに明確に規定しておく必要があります。
なお、③による場合は、労使協定を締結する必要があります。