この記事では、保険契約者が不利益を被らないようにできた、「保険法」の解説をしていきます。
これまで、保険業界は法整備が遅れていました。それにより、不道徳な保険会社の行いによって、契約者が涙を飲む事態に陥ることも多々ありました。
保険法の制定は、保険業界の信頼回復と発展、そして利用者の幸福につながる改革です。
この記事を読めば、保険法によって変わった「契約者の利点」を知ることができます。
保険法とは
保険法は、保険契約に関するルールを決めている法律です。
保険を契約してから終了するまでの保険会社や契約者などの権利や義務が定められています。
2008年に、保険法という法律が新しく制定されました。
それまで保険に対して独立した法律はなく、商法のなかに保険契約に関する項目が組み込まれていました。
商法が制定されたのは1899年で、そこから100年近く実質的な改正が行われていませんでした。
現在の保険契約の実態に即しているものではありませんでした。
そこで、商法の保険契約に関する規定を全面的に見直して誕生したのが保険法です。
保険法は2010年4月1日から施行されています。
保険金支払い所要日数が定められる
保険法の制定により、保険契約や保険金支払いなどにさまざまなルールが加わりました。
たとえば、保険金支払い時期に関する規定です。
保険法が施行されるまでは、保険金の支払いをいつまでにすればいいのかを定めた規定はありませんでした。
そのため、保険金支払いが遅延して契約者が不利益を被るというケースも少なからず存在していました。
そこで、保険法では、保険金支払いまでの所要日数を定め、それを超過した場合は「遅延利息」を支払うことが決められました。
上記の規程の創設により、保険会社各社は、保険金請求書類の手配が完了すると、迅速に保険金を支払うようになりました。
遅延利息
遅延利息(ちえんりそく)とは、保険法で定められた利息は2020年4月1日の民放改正により年率3%に改正されました。以後、3年ごとに市中金利の変動に合わせて見直されます(変動制)。
遺言によって保険金受取人を変更できる
保険法の制定により、生命保険において、遺言によって保険金受取人を変更することが認められるようになりました。
契約者が被保険者の同意を得ており、法的に有効な遺言書である場合は、保険金受取人の変更が可能になります。
また、保険法で決められた内容よりも、契約者が不利になる約款の規程は無効とな
契約者が不利になる約款は無効
保険法で定められた内容よりも、契約者が不利になる約款の規程は無効とな無効となる規程は無効となることも決められました。
約款
約款(やっかん)とは、保険会社が発行する書類です。保険金を支払う場合や支払わない場合、保険金の支払などが記載されています。
保険法の要点
- 保険金支払いまでの所定日数を定め、所要日数を超過した場合は遅延利息を支払う
- 責任保険における被害者の優先権を確保
- 保険金受取人の変更ルールの整備
- 共済契約にも適用範囲を拡大
- 重大な事由があった場合に保険者が契約を解除できる旨の規定を新設
- 事業リスクのための契約については、片面的強行規定の除外
- 超過保険や重複保険について、保険金額が目的物の価値を超える部分の契約も有効