この記事では、雇用保険の保障の一つである「移転費」について解説していきます。
就職や職業訓練をするにあたって、引っ越しを求められる場合があります。
引っ越し費用は高額になるため、人によっては就職や職業訓練の足かせとなる可能性があります。
移転費はそんな方の負担を軽減し、就職や職業訓練をする方をサポートします。
この記事を読めば、移転費の「受給要件」「給付金額」「手続き」などを知ることができます。
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移転費とは
「移転費」は、雇用保険の受給資格者の方が、ハローワーク、特定地方公共団体または職業紹介事業者の紹介により職業に就くため、または公共職業訓練等を受講するために、住居所を変更する場合に支給されます。
いずれも、ハローワークの所長が必要であると認めたときに支給され、鉄道賃、船賃、航空賃、車賃、移転料および着後手当があります。
移転費の受給要件
移転費の受給を受けるためには、下記の5つの条件を満たす必要があります。
移転費の受給要件
- 雇用保険の受給資格者であること(※1)
- 雇用保険の待期期間が経過した後に、就職し、または公共職業訓練等を受けることとなったこと
- ハローワーク、特定地方公共団体または職業紹介事業者(※2)が紹介した職業(※3)に就くため、またはハローワークの所長の指示した公共職業訓練等を受けるために、住所・居所を変更する場合
- 事業所または訓練施設が、次のいずれかに該当するため、ハローワークが住所・居所の変更が必要であると認める場合
・通勤(所)時間が往復4時間以上である場合
・交通機関の始(終)発の便が悪く、通勤(所)に著しい障害がある場合
・移転先の事業所・訓練施設の特殊性や事業主の要求によって移転を余儀なくされる場合 - 事業所、訓練施設その他の者から就職準備金その他移転に要する費用が支給されないこと、またはその支給額が移転費の額に満たないこと
※1:雇用保険の受給資格者ですが、自己都合退職の場合、離職日以前の2年間で、通算12カ月以上の被保険者期間があることが、雇用保険の受給条件です。一方、会社都合退職は、離職日以前の1年間で通算6カ月以上の被保険者期間があることが受給条件となります。
※2:職業安定法第4条第8項に規定する特定地方公共団体または職業安定法第18条の2に規定する職業紹介事業者をいいます。なお、職業紹介事業の停止を命じられている職業紹介事業者または業務改善命令を受けている職業紹介事業者から紹介を受けた場合は、移転費の支給対象とはなりません。
※3:雇用期間が1年未満である場合や、循環的に雇用されることが慣行となっている場合を除きます。
移転費の給付金額
旧住居地から新住居地までの順路について発生する賃料(鉄道賃、船賃、航空賃および車賃)は、通常の経路および方法により計算した、本人および随伴する親族の運賃等の実費相当額が給付されます。
また、距離に応じて、93,000円~282,000円の8段階(単身の場合はその半額)の移転料が給付されます。
他にも、着後手当として、76,000円(単身の場合は38,000円)。ただし、旧居住地から新居住地までの距離が100km以上の場合95,000円(単身の場合は47,500円)が給付されます。
項目 | 金額 |
鉄道賃、船賃、航空賃および車賃 | 実費相当額 |
移転料 | 距離に応じて、93,000円~282,000円の8段階 (単身の場合はその半額) |
着後手当 (親族を随伴する場合) |
76,000円 |
※ 旧居住地から新居住地までの、鉄道賃の額の計算の基礎となる距離が、 100キロメートル以上の場合は、95,000円 |
|
着後手当 (親族を随伴しない場合) |
38,000円 |
※ 旧居住地から新居住地までの、鉄道賃の額の計算の基礎となる距離が、 100キロメートル以上の場合は、47,500円 |
ただし、就職先の事業主、訓練施設の長等から就職支度費が支給されるときは、その差額分だけ支給されることになります。
移転費の給付手続き
移転費を受けるための手続きは下記の4つのstepになります。
step
1書類提出
・移転費支給申請書(※)
・雇用保険受給資格者証
(※)
・移転の際、親族の方が随伴される場合は、その親族の方が、受給資格者の方の収入によって生計を維持されている同居の親族であることを証明する書類を添付してください。
・特定地方公共団体または職業紹介事業者の紹介した職業に就いたことにより、移転費の支給申請を行う場合は、紹介状の写しや「職業紹介証明書(移転費)」等の紹介を受けた事実を証明できる書類を添付してください。
step
2ハローワークから移転費支給決定書および移転証明書が交付される
step
3就職先の事業主に、移転費支給決定書と移転証明書を提出します
step
4就職先の事業主が、移転証明書の就職証明欄に必要事項を記載し、交付したハローワークに返送します
問い合わせ先
居住地の公共職業安定所(船員の場合、船員の求人を探すときは居住地の地方運輸局)。
移転費を受けた後
移転費の支給を受けた受給資格者は、移転後、移転費支給決定書を就職先の事業主に提出しなければなりません。
事業主はそれにもとづき、移転証明書を、移転費を支給した公共職業安定所等に送付します。
まとめ
移転費とは、就職また公共職業訓練を受けるために移転するときに、基本手当(失業保険)に加えて支給されるものです。
移転費の受給を受けるためには、下記の5つの条件を満たす必要があります。
- 雇用保険の受給資格者であること
- 雇用保険の待期期間が経過した後に、就職し、または公共職業訓練等を受けることとなったこと
- ハローワーク、特定地方公共団体または職業紹介事業者が紹介した職業に就くため、またはハローワークの所長の指示した公共職業訓練等を受けるために、住所・居所を変更する場合
- 事業所または訓練施設が、次のいずれかに該当するため、ハローワークが住所・居所の変更が必要であると認める場合
・通勤(所)時間が往復4時間以上である場合
・交通機関の始(終)発の便が悪く、通勤(所)に著しい障害がある場合
・移転先の事業所・訓練施設の特殊性や事業主の要求によって移転を余儀なくされる場合 - 事業所、訓練施設その他の者から就職準備金その他移転に要する費用が支給されないこと、またはその支給額が移転費の額に満たないこと
給付金額については下記のとおりです。
項目 | 金額 |
鉄道賃、船賃、航空賃および車賃 | 実費相当額 |
移転料 | 距離に応じて、93,000円~282,000円の8段階 (単身の場合はその半額) |
着後手当 (親族を随伴する場合) |
76,000円 |
※ 旧居住地から新居住地までの、鉄道賃の額の計算の基礎となる距離が、 100キロメートル以上の場合は、95,000円 |
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着後手当 (親族を随伴しない場合) |
38,000円 |
※ 旧居住地から新居住地までの、鉄道賃の額の計算の基礎となる距離が、 100キロメートル以上の場合は、47,500円 |
移転費の支給を受ける場合は、引っ越しした日の翌日から1ヶ月以内にハローワークに支給申請書を提出する必要があります。
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