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【社会保障の持続】75歳以上の保険料の上限額引き上げ

【社会保障の持続】75歳以上の保険料の上限額引き上げ

政府は2022年9月7日、全世代型社会保障構築会議を開き、4カ月ぶりに議論を再開しました。

子育て世代への支援拡充とともに、持続的な社会保障制度を実現するため所得の高い高齢者などへの負担増の議論に着手します。

現役世代に偏る負担を見直し制度の安定性を高める狙いですが、反発も想定され議論は難航する可能性があります。


費用の増加が続く社会保障制度の改革が必要

費用の増加が続く社会保障制度の改革が必要

岸田文雄首相は官邸で開いた会議の本部会合で「負担能力に応じて全ての世代で増加する医療費を公平に支え合う仕組みが必要だ」と指摘しました。

高齢者の人口が2040年ごろをピークに増え続けるため、費用の増加が続く介護保険制度を含めて改革を進めていく必要性を強調。


政府は今後、「子ども・子育て支援の充実」「医療・介護制度の改革」「働き方に中立的な社会保障制度の構築」の3テーマを中心に議論します。

作業チームをつくり、年末に向けて集中的に検討します。


社会保障制度を持続させるために高齢者の負担増

社会保障制度を持続させるために高齢者の負担増

焦点の一つが高齢者の負担増です。

日本の社会保障制度の仕組み上、給付は高齢者、負担は現役世代に偏りがちです。

象徴的な例は75歳以上が加入する後期高齢者医療制度で、必要な医療費は窓口負担を除けば現役世代からの支援金で約4割を賄っています。

支援金は増加を続け、賃金が伸び悩む現役世代の重荷となっています。


75歳以上の後期高齢者の保険料の上限額引き上げ

政府がまず検討するのは75歳以上の後期高齢者の保険料の上限額引き上げです。

これまでも定期的に引き上げ、現在は年66万円となっています。

25年にはすべての団塊の世代が75歳以上になり、医療費の増加は確実です。

後期高齢者1人当たりの医療費は65歳未満の5倍程度です。

現役世代の負担を緩和するために応分の負担を求める狙いです。


上限が適用される基準は年金収入のみの場合で906万円、年金・給与収入が同程度の場合で1016万円で、後期高齢者全体の1%強にとどまっています。

制度の持続性を高めるには保険料だけでなく窓口負担の見直しなども必要になります。

10月には1割負担の人の一部について2割負担への引き上げが控えています。

さらなる制度改正の議論が欠かせません。


介護費用の2割を負担する人の対象拡大

介護保険も3年に1度の制度改正の議論が今後本格化します。

介護費用の2割を負担する人の対象拡大や、ケアプランの有料化などが課題となります。


子育て支援の拡充も注目

子育て支援の拡充も注目

子育て支援の拡充も注目されています。

政府は子ども関連予算の倍増を目指すとしているものの、どういった支援をどの程度積み増すかといった具体策は依然として見えていません。

財源確保では、育児休業給付の対象を現在は範囲外の非正規労働者にも広げる案などを検討するが、企業の負担増につながり、反発が出る可能性があります。


政府内には子育て支援充実のための財源は社会保障制度の見直しで捻出すべきだという意見もあります。

負担増の議論は毎回のように反発を受けており、修正を余儀なくされることも多いです。

年末にかけての調整は一筋縄ではいきません。


まとめ

まとめ

政府は2022年9月7日、全世代型社会保障構築会議を開き、4カ月ぶりに議論を再開しました。

子育て世代への支援拡充とともに、持続的な社会保障制度を実現するため所得の高い高齢者などへの負担増の議論に着手します。


日本の社会保障制度の仕組み上、給付は高齢者、負担は現役世代に偏りがちです。

象徴的な例は75歳以上が加入する後期高齢者医療制度で、必要な医療費は窓口負担を除けば現役世代からの支援金で約4割を賄っています。


政府がまず検討するのは75歳以上の後期高齢者の保険料の上限額引き上げです。

上限が適用される基準は年金収入のみの場合で906万円、年金・給与収入が同程度の場合で1016万円で、後期高齢者全体の1%強にとどまっています。


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