この記事では、「生活保護を受けるための条件」について解説していきます。
生活保護は誰でも手軽に受給できるわけではありません。
受給は自助努力を尽くしても「健康で文化的な最低限度の生活」を送れない場合に開始されます。
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生活保護を受けるための条件と優先事項
生活保護を受給するためには、下記のような条件や優先事項を満たしている必要があります。
それぞれわかりやすく解説していきます。
1.資産の活用
現金や預貯金、貴金属など、一般的に資産と呼ばれているものを保有している場合は、それらを売却して生活費に充てる必要があります。
ただし、現金や預貯金はまったくもっていてはいけないというわけではなく、資産についてもそれを処分することで生活に支障が出る場合は売却を要求されることはありません。
2.能力の活用
働くことのできる人は、その人の持っている能力に応じて収入を得るために働く努力をすることが要求されます。
ただ、定年を過ぎた高齢者や、病気の人、雇用情勢が悪く仕事を見つけられないといった事情もありますので、仕事をしていないという理由だけで一切生活保護が受けられないということではありません。
3.扶養義務者からの援助
生活保護を受給したいと申請してきたものに対して扶養する義務がある人(扶養義務者)がいる場合には、まず扶養義務者(申請者の配偶者や両親、子など)その人からの援助を受けることが優先されます。
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4.他の法律の活用
年金や雇用保険など、生活保護以外に申請者が受給できる法律や制度がある場合は、まずその受給手続きを行うことが優先されます。
その上で、もらった年金や雇用保険の額が生活保護基準に足りない場合は、その不足している部分が生活保護費として支給されます。
生活保護基準とはどのようなものなのか
生活保護は原則として個人ではなく、生計を同一にしている世帯ごとに受給が行われます。
なお、世帯の中に入院している者がいて、その医療費にかなりの金額がかかり、生活が苦しくなっているような場合には、例外的に世帯を分けるなどの処理をすることがあります。
また、生活保護基準とは、その世帯の人数や、年齢などによって決められるもので最低生活費の金額となるものです。
最低生活費とは、水道光熱費や家賃、食費など、生活に必要となる最低限の費用です。
これら生活保護基準は、国民が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができる水準であるとされていて、世帯合計の収入や資産がこの生活保護基準を下回る場合は、生活保護の受給対象となります。
厚生労働省では生活保護の基準額を公表していますから、これで自分に生活保護を受ける「資格」があるかどうかを確認してみるとよいでしょう。
最近では、令和元年 10月に基準額が見直されています。
生活保護というとイメージが悪く、申請をちゅうちょすることもあるでしょうが、家族や友人の援助もな一切受けることができず、心身的に十分な生活費を稼ぐことができない状態であれば、遠慮せずに生活保護の申請を行いましょう。
なお、この生活保護基準は市区町村によってその金額も異なります。
物価の高い地域では基準額も高めに設定されています。
収入の認定
労働で得た収入だけでなく、仕送りや年金も収入として扱われます。
実際は、一世帯に入ってきた収入から社会保険料(給料から天引きされる場合はこの限りではない)などの必要経費を控除した金額が収入として認定されます。
生活保護を受給した後でも、これらの認定された収入がある場合は、生活保護費は収入認定額を差し引かれた分だけが支給されることになります。
ただし、世帯に入ってくる金額のうち、冠婚葬祭による香典や祝い金など、社会通念上、収入とすることが適切でないものに関しては、収入として認定されることはありません。
支給額を算出する方法
世帯の収入認定額と生活保護基準で定められている最低生活費を比較して、申請世帯が生活保護の受給対象となるかどうかが判断されます。
収入認定額が生活保護基準額よりも少ない場合は、生活保護が支給され、支給額は原則として最低生活費から収入認定額を差し引いた金額になります。
$$生活保護基準額−収入認定額=生活保護費$$
生活保護が支給されるケースは3つ
生活保護を受給するには、「働けない、または、働きたくても職が見つからない、働いているけれども収入が少ない」ということを証明する必要があります。
生活保護を受けようとする前に、まず自分で稼いで生活できるように自助努力が求められるからです。
働ける能力を稼働能力といいます。稼働能力は人によって異なります。
人は、それぞれ年齢や性別、学歴、職歴、疾病の有無など、境遇に違いがあるからです。
福祉事務所は、申請者ごとに個別に稼働能力を判断し、生活保護を適用するか、却下するかを判断します。
判断によっては、単に職を探すように指導するだけのケースもありますし、短期間だけ生活保護が認められるというケースもあります。
ケースとしては下記の3つが考えられます。
それぞれわかりやすく解説していきます。
1.働けない場合
働けない場合は生活保護を受ける理由になりますが、受給するには、働けないことを証明する必要があります。
証明する際も、あくまでも誰もが納得できるような客観的な内容での証明が必要です。
病気やケガなどの理由で働けない場合は、福祉事務所が主治医に問い合わせて調査を行います。
2.仕事がない場合
働くことはできるが、仕事がない場合でも、生活保護を受けることはできます。
ただし、仕事を見つける努力をしているが、どうしても見つけることができないことを証明する必要があります。
たとえば、福祉事務所に相談に行くときに過去の就活活動の内容がわかるような記録やハローワークの登録カードなどを持っていくのがよいでしょう。
3.収入が少ない場合
働いているが収入が少ないという場合には、企業に雇用されているかどうかにかかわらず、自営業者などであっても生活保護を申請することができます。
ただし、労働による収入または利益が最低生活費よりも少ないというだけでは「収入が高い企業に転職すればよい」と判断されてしまいます。
少ない収入でも働かなければならない客観的な理由を説明し、福祉事務所に納得してもらう必要があります。。
たとえば、病気や介護で特定の時間しか働けないといった理由です。
努力してもこれ以上の仕事が見つからないということも理由になります。
その際は、仕事がないと同様に、証拠となる書類等があるとよいです。
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