常時介護などの支援が必要な障害者に対して、日中の支援には「就労移行支援事業」「生活介護事業」「自立訓練」が用意されていますが、同じように夜間の支援を提供するサービスも求められます。
夜間の支援を提供するのが、「施設入所支援」です。
日中の支援と夜間の支援を組み合わせることで、常時介護などの支援が必要な障害者に対応できます。
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施設入所支援とは
施設入所支援は、障害者総合支援法で定められた自立支援給付のうち、介護給付に含まれる障害福祉サービスです。
施設に入所する障害者に対し、夜間を中心に排泄や入浴、食事といった日常生活の介護や支援、生活に関する相談や助言を行うサービスです。
そのため、施設に通所することが困難な障害者のケアを担う重要なサービスだといえます。
日中時間帯は、就労移行支援事業や生活介護事業、自立訓練などを利用することになります。
1日の時間帯ごとに適切なサービスが配置されていることで、障害者の1日の生活すべてにおいて、必要なケアが行き届く仕組みが採用されています。
常時介護が必要な障害者は、日中と夜間のサービスを組み合わせる
利用者は、施設でのサービスを日中のサービスと夜間のサービスに分けることで、サービスの組み合わせを選択できます。
このサービスを利用する場合には、利用者一人ひとりの個別支援計画が作成され、その計画に沿ってサービスが提供されます。
また、施設入所支援を利用する障害者は、地域移行支援の対象者でもあります。
そのため、個別支援計画を作成する際には、地域移行も想定して作成しなければなりません。
その障害者がどんな生活が適しているのか、どんな支援が必要なのかを意識して作成する必要があり、障害者本人中心の支援計画を作成することが求められます。
施設入所支援が必要になった背景
以前まであった入所更生施設は、日中と夜間のサービスを一体的に提供していました。
しかし、「日中に適した訓練が施されているが、その施設には住居機能がない」、逆に、「住居機能があるがその施設では満足な訓練が受けられない」などの不都合が生じるケースがありました。
そういった背景があり、法改正が行われ、施設入所支援が規定されたことにより、障害者は自分に合った日中活動や夜間のケアを選択することができるようになりました。
施設入所支援を利用できる障害者
施設入所支援の利用者は、日中に就労移行支援や生活介護事業、自立訓練を利用している人で、かつ夜間の介護を必要とする人を対象としています。
常時介護などの支援が必要な障害者が該当します。
具体的な対象者は主に下記の3つです。
- 生活介護を受けている障害支援区分4以上の人(50歳以上の場合は障害支援区分が3以上)
- 自立訓練、就労移行支援または就労継続支援B型を受けている人で、施設に入所して訓練を行うことが必要的・効果的であると認められる人
- 障害福祉サービスの提供状況などその他やむを得ない事情で通所による介護などを受けることが困難な人
施設入所支援を希望する場合は、障害福祉サービスの利用申請と異なるので注意が必要です。
障害福祉サービスを利用する方法
障害福祉サービスを利用したい場合は、居住地の市町村に申請します。
注意しなければならないのは、市町村ごとに対応窓口の名称が同じではないということです。
一般に、生活福祉課や障害福祉課などの名称がつけられていることが多いようです。
具体的に、どの窓口に対して申請すればよいのかが分からない場合には、申請に出向く前にあらかじめ市町村の総合窓口に問い合わせをしてみましょう。
市町村は相談支援事業を行っている
市町村は障害福祉サービスの一環として相談支援事業を行っていますので、相談支援の中で障害者は自身に適切なサービスの内容や、必要な手続きに関するアドバイスを受けることができます。
その際には、市町村から委託を受けた相談支援事業者からのアドバイスなどを受けることになります。
相談支援事業者は、障害者に変わって申請に関する手続きを代行することも可能です。
相談支援事業者は下記の2つに分類することができます。
- 指定一般相談支援事業者
- 指定特定相談支援事業者
ともに、市町村から指定を受ける必要がありますが、指定一般相談支援事業者は、広く障害者が社会生活を営むうえで抱えた問題について、相談を受け付けます。
これに対して、指定特定相談支援事業者は、傷害福祉サービス利用手続きの相談の他に、サービス等利用計画案の作成まで行ってもらえます。