この記事では「障害児入所支援」について解説していきます。
日本の社会保障では、障害児が適切な施設で支援を受けられる制度が存在します。
「障害児入所支援」を利用すれば、食事、排せつ等、障害児本人だけでは難しい作業を支援してもらえます。
この記事を読めば、「利用対象者」「支援の内容」「利用者の負担額」などを知ることができます。
-
障害のある子どもを持つ親が読むべきおすすめの本7選【2024年版】
子供の将来を心配することは、親にとっては当然のことかもしれません。とりわけ、子どもに障害があった場合は、そうでない場合とは比較にならないでしょう。この記事では、障害のある子どもを持つ親が読むべきおすす ...
続きを見る
障害児入所支援とは
障害児入所支援とは、障害のある児童が施設に入所し、支援を受けられるサービスです。
身体に障害のある児童、知的障害のある児童、精神障害のある児童(発達障害児を含む)または難病等により障害のある児童に対して、児童福祉法にもとづき、障害児入所施設(福祉型・医療型)や指定医療機関において支援が行われます。
また、それらに係る費用が障害児入所給付(医療にかかる費用については障害児入所医療費)として支給されます。
対象者は18歳未満の障害児
障害児入所支援を受けられる対象者は、身体に障害のある児童、知的障害のある児童又は精神に障害のある児童(発達障害児を含む)です。
児童相談所、市町村保健センター、医師等により療育の必要性が認められた児童になります。
児童福祉法における児童とは、年齢が「満18歳に満たない者」になります。
支援の内容
入所または入院している障害児に対し障害の応じた適切な支援(保護、日常生活の指導および知識技能等の給付)を行います。
支援の内容は、福祉型・医療型により異なります。
福祉型障害児入所施設
- 食事、排せつ、入浴等の介護
- 日常生活上の相談支援、助言
- 身体能力、日常生活能力の維持・向上のための訓練
- レクリエーション活動等の社会参加活動支援
- コミュニケーション支援
- 身体能力、日常生活能力の維持・向上のための訓練
医療型障害児入所施設
医療型の施設においては、福祉型で行われる支援のほかに治療も行います(知的障害児、肢体不自由児、重症心身障害児が対象)。
- 疾病の治療
- 看護
- 医学的管理の下における食事、排せつ、入浴等の介護
- 日常生活上の相談支援、助言
- 身体能力、日常生活能力の維持・向上のための訓練
- レクリエーション活動等の社会参加活動支援
- コミュニケーション支援
利用者の負担額
利用者は、サービスに係る費用の一定額を自己負担することになります。
ただし、世帯の所得に応じた負担上限額が設定されており、1ヶ月に利用したサービス量にかかわらず負担は上限額までとなります(市町村税非課税世帯の児童に係る福祉サービスの利用者負担は無料)。
また、食費や光熱水費は別途負担することになります。
負担上限額
所得区分 | 負担上限額 | |
生活保護(生活保護受給世帯) | 0円 | |
低所得(市町村民税非課税世帯) | 0円 | |
一般1 |
居宅で生活する障害児 | 4,600円 |
居宅で生活する障害者および20歳未満の施設入所者 | 9,300円 | |
一般2 | 37,200円 |
問い合わせ先
問い合わせ先は居住の市区町村役場になります。
自己負担額の軽減措置
医療型施設を利用の場合は、福祉サービスに係る利用者負担と医療費、食事療養費の負担の合算額に対して負担上限月が設定されます(医療型個別減免)。
福祉施設を利用の場合は、食費および光熱水費の実費負担が所得に応じて軽減されます(補足給付)。
また、世帯における同一月の障害児入所支援の利用者負担額と障害福祉サービス等の利用者負担額の合計が所得に応じた基準額を超えた場合は、申請により超えた分が後から高額障害児入所給付費等として支給されます。
高額障害福祉サービス等給付費の支給
同一月・同一世帯における下記の(1)の利用者負担の合算が、(2)の基準額を超えた場合、申請により超えた分が高額障害福祉サービス等給付費として後から支給されます。
ただし、負担額の軽減や介護保険から高額介護(予防)サービス費等が受けられる場合は、それらの支給額を差し引いて計算します。
なお、医療部分に係る利用者負担や食費等の負担額は合算の対象になりません。
(1)合算対象利用者負担
- 障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス等(介護給付・訓練給付)に係る利用者負担
- 介護保険の居住サービス等の係る利用者負担
- 障害者総合支援法に基づく補装具費に係る利用者負担
- 児童福祉法に基づく障害児通所支援に係る利用者負担
- 児童福祉法に基づく障害児入所支援に係る利用者負担
(2)基準額
市町村民税課税世帯は37,200円、それ以外は0円。
ただし、同一世帯で障害児に係る利用者負担(上記1.4.5.のいずれかに限る)が複数ある場合は基準額を引き下げる特例があります。
障害児入所支援の申請・手続き
市区町村または指定障害児相談支援事業者に相談後、市区町村に申請
⇩
指定障害児相談支援事業者と契約して障害児支援利用計画案を作成し(家族等が作成することも可能)、申請書等とともに提出します
⇩
生活や心身の状況、サービス利用の意向についての調査、聞き取りが行われます
⇩
サービスの支給決定がされ、受給者証が交付されます
⇩
利用する施設・事業所と契約を結び、サービスの利用が始まる
利用者が18歳以上になった場合
障害児入所支援の対象は18歳に満たない児童に限定されています。
18歳以上になった場合は、児童福祉法により「障害者総合支援法」が適用とな、障害者総合支援法によるサービスへ切り替えられ、支援が受けられます。
18歳以上の障害児施設入所者への対応
18歳以上の入所者がいる障害児施設は、下記の3つのタイプへと施設の方向性を選択することになります。
- 障害児施設として維持
- 障害者施設への転換
- 障害児施設と障害者施設の併設
入所者が退所させられることがないようにする必要があります。
障害児施設として維持
障害児施設として維持された場合、18歳以上の入所者は、地域生活へ移行するための支援を受けることになります。
障害者施設への転換
障害者施設への転換し、障害者のみを対象した場合は障害児の入所枠は廃止になります。
この場合、施設の利用を継続し、退所させられることはない。
障害児施設と障害者施設の併設
障害児施設と障害者施設の併設した場合、施設の利用を継続し、退所させられることはない。
-
障害のある子どもを持つ親が読むべきおすすめの本7選【2024年版】
子供の将来を心配することは、親にとっては当然のことかもしれません。とりわけ、子どもに障害があった場合は、そうでない場合とは比較にならないでしょう。この記事では、障害のある子どもを持つ親が読むべきおすす ...
続きを見る