社会保障

障害年金と労災保険を同時に受ける場合、労災保険はいくら減額される?

障害年金と労災保険を同時に受ける場合、労災保険はいくら減額される?

日本の社会保障にはさまざまな給付があります。

それらの給付は同時に受けることができます。

ただし、どちらも100%受け取ることはできず、〇%の減額された金額を受け取ることになります。

〇%減額されるかは、組み合わせによって異なります。


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障害年金と労災保険の給付の調整

障害年金と労災保険の給付の調整

通勤途中や、業務中の事故が原因で障害を負った場合、障害年金に加えて、労災保険からも給付があります。


労災保険(正式には労働者災害補償保険といいます)とは、仕事中や通勤途中に発生した労働者のケガ、病気、障害、死亡に対して、必要な保険給付を行う制度です。

業務上または通勤途中の事故や病気などの保険事故に対応して、下記の8つの保険給付が行われます。


年金制度の障害年金との関係で問題が生じるのが障害(補償)給付です。

傷病が治癒したときで、一定の障害が残った場合に障害等級に応じて支給されます。

第1級~7級の場合は給付基礎日額の313日~131日分の障害(補償)年金、第8~第14級の場合は給付基礎日額の503日~56日分の障害(補償)一時金が支給されます。


障害年金と労災保険は別の制度であるため、両方の受給要件を満たせば両方の給付を受けることができます。

しかし、この場合、労災保険からの給付との調整が行われます。

具体的には、労災保険が12%~27%の範囲内で減額されて支給されます。


具体的な労災保険の減額

  年金
国民年金および
厚生年金
厚生年金のみ 国民年金のみ



傷病(補償)年金
休業(補償)給付
0・73 0・86 0・88
障害(補償)年金 0・73 0・83 0・88
遺族(補償)年金 0・80 0・84 0・88



障害年金と傷病手当金の調整

障害年金と傷病手当金の調整

傷病手当金は、健康保険から支給される給付のひとつです。

健康保険とは、業務外での疾病や休業、死亡、出産などを迎えた際に受けることができる、公的な医療保険制度です。

健康保険は、すべての公的医療保険を網羅するものですが、「健康保険」というと、「国民健康保険」との比較で協会けんぽや健康保険組合が運営する被用者(会社員などの労働者等のこと)の健康保険をさすことが多いようです。


傷病手当は、健康保険の被保険者が業務外の病気やケガで働くことができなくなり、その間の賃金を得ることができないときに、受給することができる生活費です。

傷病手当金の給付を受けるためには、療養のために働けなくなり、その結果、連続して3日以上休んでいたことが要件となります。

傷病手当金の支給額は1日につき標準報酬日額の3分の2相当額です。

会社などから賃金の一部が支払われたときは、傷病手当と支払われた賃金との差額が支払われます。

支給期間は1年6ヶ月です。


傷病手当金も労災保険と同様、受給要件を満たせば障害年金との併給が可能です。

ただし、この場合も前述した労災保険の給付と同様に調整が行われます。

具体的には障害年金の支給額分に相当する傷病手当金が減額されます。


したがって、障害年金額が傷病手当金額よりも高い場合は、傷病手当金は支給されません。




障害基礎年金と老齢厚生年金の併給

障害基礎年金と老齢厚生年金の併給

かつては1人1年金を原則とする考え方から、障害基礎年金と老齢厚生年金、遺族厚生年金の併給は認められませんでした。

しかし、制度が変更され、平成18年4月からは、障害基礎年金および老齢厚生年金の併給、障害基礎年金および遺族厚生年金の併給が可能になっています。


ただし、基礎年金同士である障害基礎年金と老齢基礎年金の併給は認められていません。



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