中国で少子高齢化が止まりません。
人口増加を抑制するため、1979年から始まった一人っ子政策でしたが、2016年からは一組の夫婦につき子ども二人までとする、二人っ子政策に転換。
そして、このたび1組の夫婦が3人目の子供を出産することを認める方針を示しました。
1組の夫婦に3人目の出産を容認
中国共産党は2021年5月31日の政治局会議で、1組の夫婦に3人目の出産を認める方針を示しました。
2020年の出生数は1949年の中国建国後最大の落ち込みとなりました。
中国にとって巨大な人口は国際的な影響力の源泉です。
少子高齢化による経済成長鈍化への危機感は強く、産児制限の緩和に動きました。
産児制限を緩める
中国は1979年から夫婦に1人の出産しか認めない一人っ子政策を始めました。
強制的な出産抑制で出生率は下がり、16年にすべての夫婦に2人目の出産を認めたが、産児制限をさらに緩めた格好です。
効果があるかは不透明
産児制限緩和が出生数の増加につながるかは不透明です。
2016年に2人目の出産を全面容認したものの、出生数は2017年以降4年連続で減りました。
とくに2020年の出生数は1200万人と前年比18%の大幅減でした。
中国でも晩婚化が進んでおり、若者の結婚や育児がしやすい環境づくりが課題となっています。
都市部で不足する預かり保育のサービスを充実させるほか、高騰する教育費の低減も必要になってきます。
2022年にも総人口は減少
出典:日本経済新聞社
2020年の国勢調査によると、14億人超の人口はなお増加したが、減少への転換は間近です。
中国共産党系メディアの環球時報は人口統計学者の見方として「22年にも総人口は減少に転じる」と伝えました。
従来の見通しより5年ほど前倒しになる可能性があります。
少子高齢化は急速に進んでいる
65歳以上の高齢者は2020年までの10年間で6割増えました。
人口に占める割合も13.5%に達し、国際基準で同14%超と定める「高齢社会」に間もなく突入します。
対照的に、働き手や子どもの数は減少に歯止めがかかっていません。
生産年齢人口は13年のピークから4%落ち込みました。
1人の高齢者を支える現役世代の数は減り続けています。
社会保障費も増加
社会保障をめぐる財政へのしわ寄せも拡大しています。
年金や医療、労災、失業、出産保険の収支を管理する社会保険基金の2021年予算は、25.5%を財政支出で補います。
15年から3ポイント上昇しました。
少子化により内需の減少
2020年までに携帯電話の出荷台数は4年連続、新車の販売台数は3年連続で減少しました。
若い世代が減り、習近平指導部が重視する内需拡大にも影を落としています。
中国人民銀行(中央銀行)は4月のワーキングペーパーで「高齢化の危機を技術進歩や教育水準の向上で補うことは難しい」と指摘しました。
人口問題への早急な対応を求められます。
退職年齢を引き上げて対応
働き手を確保するため、政治局会議は「法定退職年齢の引き上げを着実に進める」とも強調しました。
ただ、退職年齢の引き上げは年金の支給開始時期の遅れだけでなく、若年層の雇用減少にもつながるため、庶民の反発も強いです。