この記事では、「失業保険の手続きと必要な書類」について解説していきます。
失業保険(失業手当)の給付は、手続きを始めてから支給に至るまでにいくつかの工程を踏まなければならず、時間を要します。
そのため、予め段取りを知っておくことで、なかなか給付に至らないもどかしさを感じることなく、落ち着いて手続きを進めることができます。
失業保険の手続きの流れ
出典:doda
失業保険の手続きの流れは下記のようになります。
離職日
⇩
離職票を受け取る
⇩
ハローワークで求職の申し込み、受給資格の決定
⇩
待期期間(7日間)
⇩
雇用保険受給説明会
⇩
ハローワークで失業の認定
⇩
失業手当の振込(1回目)
⇩
失業認定日は4週に1回ある
それぞれわかりやすく解説していきます。
step1.離職票は退職後10日で会社から届く
従業員が退職した場合、会社は退社日の翌日から10日以内に、管轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出しなければなりません。
この「資格喪失届」には、被保険者の氏名、生年月日、被保険者となった年月日、退職理由などが書かれており、退職日以前の賃金の支払い状況を記入した「離職証明書」が添付されています。
離職証明書は3枚1組の複写式の用紙になっていて、1枚目が事業主控、2枚目は公共職業安定所用、3枚目が離職票になっていて、3枚目だけが退職者に手渡されます。
つまり、離職証明書には退職者に交付する離職票と同じことが書いてあることになります。
会社から交付された「離職票」は失業等給付の申請をする際に必要になる重要な書類です。
通常は会社から郵送などで届けられますが、退職後2週間経っても届かないようであれば、会社に確認しましょう。
手続きが遅れると、雇用保険の支給開始も遅れてしまい、結果として給付日数が残っていても途中で期限切れになることもあります。
関連記事
離職票に基づいて受給資格が決まる
離職票は、失業給付を受ける権利があるのかどうか、またどれだけ受給することができるかを証明する重要な書類です。
ハローワークはこの書類に基づいて受給資格を決定します。
離職票は退職者の離職前の賃金と離職理由を証明するものです。
この書類が証明する内容は、離職者本人が確認したうえで署名または記名・押印してから、会社がハローワークに提出するのが原則です。
しかし、離職がすでに済んでいる場合には、本人の確認にかわり会社が押印をして届け出ることもあります。
これらの書類は、ハローワークで会社が作成手続きを行うものです。
手続は、本人が実際に離職するまではできないため、後日郵送などで受け取ることになります。
step2.離職票を手に入れたら求職の申込みをする
離職票を手に入れ、ハローワークで一番最初に行わなければならないことは求職の申込みです。
求職の申込みは、求職申込書に必要事項を記入し、窓口に提出することから始まります。
また、ハローワークのパソコンや自宅のパソコンから求職者情報を仮登録して、それから窓口で手続きを行うこともできます。
ハローワークの担当者はこの記入された内容をもとに、できるだけ求職者の希望に近い会社を紹介してくれます。
自分に就職したいという意思と能力があることを認めてもらうために必要な求職申込書は、求職者給付(失業手当)を受ける上で欠かすことはできません。
自分の希望を上手に伝えることがよい再就職先を見つける基本となります。
ただし、理想を求めすぎると、条件に合う会社が少なくなってしまうので注意しましょう。
また、労働条件にこだわりすぎる場合や就職できる可能性がほとんどないような職業を希望した場合、失業状態と認定してもらえず、求職者給付(失業手当)の支給が受けられなくなってしまうこともあります。
納得していない場合には最終的に断ればよいのですから、職種、勤務地、月収、勤務時間など希望する条件は多少幅をもたせるようにしましょう。
step3.受給資格決定後に説明会の日時が指示される
求職の申込みとともに、求職者給付(失業手当)について受給資格の確認が行われます。
このときに離職理由の確認や基本手当がどれだけ受けられるかなどが決定されます。
求職の申込みが終わると、受給資格が決定され、給付課で説明会の日時が指示されます。
この説明会で失業等給付を受けるために行う手続きについての説明があり、基本手当を振り込む金融機関の指定届、求職受付票などが配られます。
手続きが終わると「受給説明会」などの日程が記入されている「雇用保険受給資格者のしおり」が渡されます。
このしおりには、今後のための注意事項が書いてあります。
受給資格決定の日からの7日間が、失業の状態であることを確認するための待機期間となります。
step4.最低7日間の待機期間がある
ハローワークに求職の申込みを行い、失業の状態と認められ受給資格が決定した場合でも、決定日から7日間はどんな人も求職者給付(失業手当)を受け取ることができません。
この7日間を待期期間と呼んでいます。
7日間に満たない失業であれば、手当を支給しなくても大きな問題はないと判断されるからです。
step5.雇用保険受給説明会がある
待機期間中やその後に雇用保険説明会が開催され、受給手続きの進め方や転職活動について説明が行われます。
受給説明会は2時間程度です。給付を受ける際の注意点などについてビデオなどを利用した説明が行われます。
最後に、今後の受給に必要な「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が渡されます。
この説明会は大変重要なので必ず出席しましょう。
受給説明会は対象者を決めて実施されますので、日を間違えたり、時間に遅れると受けられなくなってしまいます。
ここで渡された「受給資格証」には、受給資格の決定内容が詳しく記入されているので、よく読んでおく必要があります。
なお、病気やケガ、出産などで退職して、失業当初から求職活動ができない場合は、受給期間の延長を申請しておきましょう。
step6.失業認定日は4週間に1回ある
失業認定日は、原則として4週間に1回指定されます。この指定された日には必ず出席しなければいけません。
認定日に確認されるのは、認定日直前の28日間(初回は期間が短い場合もある)について、実際に失業状態にあったかどうか、ということです。
失業状態にあったと認定されると、認定された日数分の基本手当が支給されます。
7日間の「待期期間」の翌日からが支給対象日になります。
ただ、給付制限のある人は、さらに給付制限期間が過ぎてから支給が開始されます。
給付制限のある人とは、自己都合や懲戒解雇による退職者のことです。
この場合、2ヵ月間の給付制限が課されます。
関連記事
・【会社都合になる条件】失業保険の特定受給資格者となる条件を解説
・【失業保険】自己都合か会社都合かの判断基準を具体例をあげて解説
・【失業保険】自己都合の退職でも2ヶ月を待たずに給付が受けられる条件
失業認定日に行けない場合はどうすればいいのか
失業等給付は、失業していた日について支給されますが、失業していたかどうかは、ハローワークが本人の申告に基づいて確認します。
一般被保険者の基本手当の認定は、原則として4週間に1回ずつ、事前にハローワークが指定した日に行われますが、高年齢被保険者の受ける高年齢求職者給付金は、1回の認定だけの一時金として支給されます。
では、この認定日にハローワークに行かなかった場合はどうなるのでしょうか。
この場合、その日に認定されるはずの期間の失業の認定が受けられないことになり、その結果、その期間の基本手当がもらえなくなってしまいます。
そのため認定日を忘れないように注意してください。
失業認定日は他の日に変更することができないのが原則ですが、やむを得ない理由によって指定された認定日に行くことができない場合、前日までに連絡をすれば認定日を変更してもらえる場合もあります。
やむを得ない理由とは、具体的には下記の7つになります。
- すでに就職した(臨時雇用も含む)
- 就職のための面接や採用試験の受験
- 国家資格や検定などの資格試験の受験
- 働くことができない14日以内の病気およびケガ
- 親族の看護、危篤、死亡、葬儀
- 本人の結婚、または親族の結婚式への出席
- 風水害などの天災
失業保険の申請に必要な書類
失業保険の求職者給付の申請に必要なものは、下記の6つになります。
- 雇用保険被保険者離職票
- 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カードなど)
- 印鑑
- 運転免許所など官公署が発行した写真付きの身分証明書
- 写真2枚(上半身、縦3㎝×横2.5㎝程度)
- 本人名義の銀行の普通預金通帳
上記のどれか1つ忘れただけでも受け付けてもらえない可能性がありますので、すべてそろっていることを確認してから出かけるようにしましょう。
ハローワークに行くときには、受付時間にも注意をしなければいけません。
職業紹介については土曜日にも行っているところがありますが、失業等給付の手続きについての受付時間は、ハローワークにより若干の差がありますが、だいたい平日9時~16時までとなっています。