再就職手当は、ハローワーク(公共職業安定所)が、離職者に早く安定した職業について就いてもらうために作られた制度です。
再就職手当を受給するには条件を満たす必要があります。
さらに、所定給付日数に残日数によって支給額が異なりますので注意が必要です。
詳しく解説していきます。
再就職手当とは
再就職手当とは、雇用保険受給資格者が基本手当の受給資格の決定を受けた後に早期に安定した職業に就き、又は事業を開始した場合に支給することにより、より早期の再就職を促進するための制度です。
失業手当は、「入社日の前日まで支給される」と聞くと、「だったら、入社日を遅らせた方が得」と、考えてしまうかもしれません。
しかし、今はそんな事をする必要はありません。
なぜならば、失業手当を多く残して再就職した人には、再就職手当がもらえるからです。
保険金というのは、本来、不幸な目に合った人におりるものなのに、再就職手当は、就職が決まってハッピーな人に保険金がおりるという特異な給付です。
今後の生活費の心配はしなくていい状況で、10万円単位の現金がポンと一括支給されるわけですから、もらっても活費に消えていくだけの失業手当とは、そのありがたみが本質的に異なります。
再就職手当の金額
再就職手当の金額は、所定給付日数の「3分の1以上残しているのか」、また「3分の2以上残しているのか」によって異なります。
それぞれの計算式は下記の通りです。
- 所定給付日数の3分の1以上残して再就職➝支給残日数の60%にあたる基本手当を支給
- 所定給付日数の3分の2以上残して再就職➝支給残日数の70%にあたる基本手当を支給
よって、早く再就職すると、より給付率が高くなります。
たとえば、所定給付日数90日の人は、就職日に30日分残っていれば、その60%の18日分がもらえる計算になります。
まだ1日ももらわないうちに就職してしまった人なら、90日の70%にあたる63日分が就職後に一括支給され、日額5000円で計算すると、31万5000円にもなります(ただし、再就職手当を計算するときの基本手当は、6195円(60~64歳は5013円)が上限となります)。
再就職手当の支給要件
再就職手当の支給を受けるには下記のすべての要件を満たす必要があります。
- 受給手続き後、7日間の待期期間(※)満了後に就職、又は事業を開始したこと
- 就職日の前日までの失業の認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること
- 離職した前の事業所に再び就職したものでないこと。また、離職した前の事業所と資本・資金・人事・取引面で密接な関わり合いがない事業所に就職したこと
- 受給資格に係る離職理由により給付制限(基本手当が支給されない期間)がある方は、求職申込みをしてから、待期期間満了後1か月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること
- 1年を超えて勤務することが確実であること。
(生命保険会社の外務員や損害保険会社の代理店研修生のように、1年以下の雇用期間を定め雇用契約の更新にあたって一定の目標達成が条件付けられている場合、又は派遣就業で雇用期間が定められ、雇用契約の更新が見込まれない場合にはこの要件に該当しません。) - 原則として、雇用保険の被保険者になっていること
- 過去3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと。(事業開始に係る再就職手当も含みます。)
- 受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと
- 再就職手当の支給決定の日までに離職していないこと
注意すべきは、再就職手当には、細かい支給要件がたくさんあることです。
なかでも、理解して欲しい要件は「1年を超えて勤務することが確実であること」。つまり、1年契約で働く非正規雇用の仕事についても、支給対象にはならないということです(その場合でも、会社が「1年超見込み」と証明してくれれば受給可能)。
また、給付制限を受けている人が待機満了後の1ヶ月以内に就職した場合、「職業安定所または、職業紹介事業者の紹介によるもの」に限るという要件もあります。
したがって、退職後、すぐに求人広告で応募した会社に就職したりすると、たとえほかの要件を満たしていても、再就職手当は1円ももらえなくなってしまうのです。
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