雇用保険(失業保険)の基本手当は、失業中に求職活動をしていることで受給することが出来ます。
つまり、病気やケガによって求職活動ができない場合、この基本手当を受けることができなくなります。
では、基本手当を受給中に病気やケガを負った場合はどうすればよいのでしょうか。
この記事を読めばその疑問を解消することが出来ます。
雇用保険(失業保険)の傷病手当とは
雇用保険(失業保険)の傷病手当とは、雇用保険の基本手当を受給中に病気や疾ケガをしたときに、基本手当に代わって受けられる手当金のことです。
雇用保険の基本手当は、「働ける状況にある人が」「働く意思があり」「求職活動をしている」場合に支給される手当ですので、病気やケガを負った場合には受給要件を満たすことが出来なくなるため、基本手当を受給することができなくなります。
これでは、失業者の社会生活を守ることができません。
雇用保険(失業保険)の受給中に病気や疾病をした場合には、基本手当に代わって傷病手当を受給できるようになります。
傷病手当の受給条件
傷病手当の受給条件は下記の4つになります。
- 受給資格者である
- 離職後、ハローワークに出頭し、求職の申込みをしている
- 求職の申込み後に病気やケガのため、継続して15日以上職業につけない状態にある
- 病気やケガが発生したのは、求職の申し込みをした後
まず、受給資格者である必要があります。
雇用保険(失業保険)の受給資格者の詳細は下記の関連記事からご覧ください。
次に、離職後、ハローワークに出頭し、求職の申込みをしている必要があります。
就職の意思がない者には傷病手当は支給されません。
傷病手当は15日間以上(30日未満)続く病気やケガが傷病手当支給の条件のため、14日以内の病気やケガの場合にはそのまま基本手当が支給されます。
30日以上働くことができなかったときは傷病手当を受給するか、基本手当の受給期間の延長をしましょう。
傷病手当の受給金額
1日あたりの傷病手当の金額は、基本手当と同額です。
基本手当の日額は、原則として、仕事を辞めた日以前の6ヶ月に毎月決まって支払われた賃金の合計を180で割った金額(賃金日額)の約50~80%となっています。
対象となるのは毎月支払われる賃金ですので、ボーナスなど臨時に支払われたものは対象となりません。(年4回以上賞与がある場合は除く)。
この50~80%の計算は、賃金の低い人ほど高い率で計算されることになっています。
基本手当日額の上限金額は離職時の年齢により区分が設けられています。上限額は下記の通りです。
年齢 | 上限額 |
30 歳未満 | 6,710円 |
30 歳以上45歳未満 | 7,455円 |
45 歳以上60歳未満 | 8,205円 |
60 歳以上65歳未満 | 7,042円 |
雇用保険の基本手当の日額は毎年8月に見直しがされます。
病気やケガの状態が良くならず、傷病手当の受給を検討する際、どのくらいの金額が支給されるのかを事前に計算する場合は注意しましょう。
傷病手当の受給期間
病気やケガなどで職業に就けない場合、その期間によって支給される手当の内容が異なります。
期間 | 受けられる手当など |
15日未満の場合 | 基本手当を支給 |
15日以上30日未満の場合 | 傷病手当を支給 |
30日以上の場合 | 傷病手当の支給か基本手当の受給期間延長のどちらかを選択 |
※基本手当の受給期間の延長については4年を限度として定められており、それ以降は受けることができなくなります。
雇用保険の傷病手当の手続き
雇用保険の傷病手当を受ける場合の手続きについては、職業に就けない理由(病気、ケガなど)がなくなった後の最初の失業認定日までに、管轄の公共職業安定所に「傷病手当支給申請書」を提出し、認定を受ける必要があります。
傷病手当支給申請書の入手方法は、ハローワークの窓口、インターネットサービス(傷病手当支給申請書ダウンロード)または「雇用保険受給資格者のしおり」に添付されています。