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安楽死・尊厳死を理解したい人におすすめの本5選【2024年版】

安楽死・尊厳死を理解したい人におすすめの本

死は誰にでも平等に訪れます。

ただし、その時に苦悩するのかどうかは人それぞれです。

ピンピンコロリと逝ければいいのですが、病気などによるものだとしたら大変な苦痛を味わうことになるのかもしれません。


この記事では、安楽死尊厳死を理解したい人におすすめの本を紹介していきます。

死について誰かと話す機会も少ないため、あまり考えたことがないと思いますが、この機会に真剣に向き合ってみてはどうでしょうか?


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安楽死・尊厳死を語る前に知っておきたいこと

安楽死・尊厳死を語る前に知っておきたいこと

安楽死や尊厳死をめぐる議論はなぜ混乱するのか?
知っておくべき歴史や背景、言葉のからくりを指摘し、「死の自己決定権」「延命治療」といった言葉も吟味し直しながら、その議論が陥りやすい落とし穴を明らかにする。

「よい死」を語る前に私たちが真に議論すべきことは何か。人間らしい尊厳ある生き方を求めて、医療文化、社会のあり方を問い直す。


レビュー・口コミ

taro1991さん

この本を読むまでは、私自身、著者が指摘されているように、健康な今の自分の意識を投影して、「よりよい死」を考えているに過ぎませんでした。

しかし、この本を読むことによって、私自身が、社会のなかで「強い自分」をたえず求められ、「弱い自分」や「一貫性のない自己」を否定し、抑圧しているに過ぎないということに気づかされました思いでおります。

著者は本書のなかで、「よりよい死」(安楽死や尊厳死)を語る前に、よりよく生きる社会、自分の生き方を追求することを尊重できる社会をつくることが重要だ説きます。
人が生きていうくうえで当然と思われるような内容ではありますが、それが当然のことではなくなっている今日の社会だからこそ、多くの人に手に取って読んでもらいたいと思いました。

認知症好きの精神科医さん

「悪い死」の代わりに「良い死」を求めるのではなく「より良い生」を求める。それを医療・介護の専門職がどれだけ支援できるかが問われているのだと思いました。
厚労省は盛んにACPの普及を図っていますが、本当に意味のあるACPを行うためには、本書で示されたような視点が不可欠だと感じます(今のままだとACPはDNARの同意書作成と同義になってしまいそう...)。
高齢者や障害者に関わる専門職の方に一読をお勧めします。






安楽死を遂げるまで

安楽死を遂げるまで

世界の医療現場で、安楽死合法化の気運が高まっている。超高齢社会を迎えた日本でも、昨今、容認論が聞こえてくるようになった。しかし、実態が伝えられることは少ない。


安らかに死ぬ――その柔らかな響きに、欧州在住の筆者は当初懐疑的だった。筆者は、スイスの安楽死団体でその「瞬間」に立ち会い、またはアメリカやオランダで医師や遺族と話を交わすなかで、死に対する考えを深めていく。

文庫解説で武田砂鉄氏はこう書く。
<本書から繰り返し聞こえてくる著者の吐息は、安心感なのか戸惑いなのか疲弊なのか、読者はもちろん、それは著者自身にも分からないのではないか。死にゆく様を見届けた揺らぎが、そのまま読者に届く。読んで、同じように揺らぐ。目の前に広がった死の光景をどう受け止めればいいのだろうか>――

読後、あなたは自らに問うはずだ。私はどう死にたいのか、と。


第40回講談社ノンフィクション賞受賞作にて、日本で安楽死議論を巻き起こすきっかけとなった衝撃ルポルタージュ。


レビュー・口コミ

ゆうさくさん

...遅れて読んだけど、この本はすごい。 
 
 著者がスイス、オランダ、ベルギー等で安楽死の現場に立ち会った際の状況が細やかに描写されていて、かなり引きこまれた。 
 日本人と欧米人の考え方の違いも取材を通して浮き彫りにし、考察しているので、ある意味で比較文化論にもなっている。 
 

 著者は、「自らの意思で」死んでいく人を目の当たりにして、止めなくてよかったのかと自問自答する。それも自然な反応だろうと思う。 
 読む人は、著者の立場に自分を重ねて葛藤するかもしれない。自分だったらどのような死を迎えたいか考えるかもしれない。 

Fuji0817さん

フィクション、ノンフィクション問わず本当に良い本に巡り合えたと心から思いました。(内容についてはあえて触れませんが)テーマがテーマということも少なからず影響しているのか作者の配慮か、昨今の読者を煽るようなわざとらしい大袈裟な表現もなく白々しいコメントもない、作者の葛藤や考えを読んでいる者が同時に自分自身で考え読み進めることの出来る素晴らしい本でした。

作者は安楽死について特に肯定でも中立という立場でもなく自身の考えを持ち合わせながら、安楽死や自殺幇助施行の前日や当日の様子、または(心の傷の癒えてないかもしれない)後日に亡くなられた方の身内へと、普段中々我々がうかがい知ることの出来ない部分を伝えようとしてくれています。
仮に患者、身内、医者の立場でこの場面にあった場合、自身だったらどう行動すべきか、色々考えさせられました。

しかし最近の小学館は面白い…






安楽死を遂げた日本人

安楽死を遂げた日本人

ある日、筆者に一通のメールが届いた。

「寝たきりになる前に自分の人生を閉じることを願います」


送り主は、神経難病を患う女性だった。全身の自由を奪われ、寝たきりになる前にスイスの安楽死団体に入会し、死を遂げたいという。実際に筆者が面会すると、彼女はこう語った。

「死にたくても死ねない私にとって、安楽死はお守りのようなものです。安楽死は私に残された最後の希望の光です」


日本人が安楽死を実現するには、スイスに向かうしかない。お金も時間もかかる。ハードルはあまりに高かった。だが、彼女の強い思いは海を越え、人々を動かしていく。

講談社ノンフィクション賞を受賞した『安楽死を遂げるまで』の続編。


レビュー・口コミ

ミスター・ディグさん

日本では、安楽死は認められていない。海外でもアメリカやオランダ、ベルギーなど、一部の国で認められているに過ぎない。だが、それらの国のほとんどは、安楽死を行えるのを自国人だけと定めており、外国人が安楽死できる国は唯一スイスのみである。スイスでは、安楽死用に使う薬品も薬局で僅か数百円で買えると言うから恐ろしい。

多系統萎縮症という全身の機能が衰えていく難病に罹患した小島ミナさん。余命宣告といったような、すぐに死ぬような病気ではないが、日常生活がどんどん困難になっていき、言葉さえ発せられなくなり、最後には寝たきりになってしまう。それでも大脳だけは元気だというから性質が悪い病気である。年上の姉2人に介護してもらうのも耐え難く、4度の自殺未遂を経て、安楽死を決意した。

日本では安楽死と尊厳死がよく混同されるなど、あまり国民に終末期医療の知識が行き渡っているとは言えない。安楽死は単なる「安らかで楽な死」ではない。安楽死を望む人にはよく毛嫌いされる緩和ケアの中には、セデーション(鎮静)と言う方法があり、患者の最期の数日間、苦痛を和らげる為に最低限の鎮静薬を投与するというもの。安楽死は苦痛が起こる前の段階で行われ、致死量の薬を投与する事によって患者を死なせるというもので、両者は似ているが別物であり、セデーションは安楽死の代わりにはなり得ない。すぐに死に至る事のない小島さんからすれば、安楽死は最後の希望であったに違いない。

小島さんがスイスで安楽死するまでは様々な困難・紆余曲折があった。しかしそれでも小島さん及び2人の姉はたまに喧嘩をしながらも周囲が驚くほど明るく、気丈に振舞っていた。しかし、いよいよ安楽死が目前に迫った時、今までの明るさが嘘だったかのように3人は悲しみを露わにした。しかし、すぐに小島さんは明るさを取り戻し、姉2人、そして撮影していたスタッフに感謝を述べながら、安らかに息を引き取った。この場面は涙無くしては読めない。海外で安楽死した初めての日本人、小島さんの51年の生涯は無駄ではなかったと信じたい。最期まで死と向き合って挫けなかった強い人だった。

安楽死できた人もいれば、できなかった人もいる。末期癌を患った吉田淳さん(仮名)。安楽死を希望し、東奔西走しながらも、結局果たせず最期はホテルの一室で亡くなった。これだけの情報だと悲惨に思えるが、吉田さんは疎遠だった家族(特に妹)の助けを受け、感謝しきりの晩年だったという。例え肉体的には苦痛であっても、最期に家族との絆を取り戻した吉田さんは決して不幸ではなかったと思いたい。

安楽死は必ずしもベストな選択ではないかもしれない。難病に罹っても生きたいと思う人の方が多いだろう。しかし、我々はこの世に望んで生まれてきた訳ではないし、死は絶対に避ける事ができない。それなら、せめて自らの死ぐらいは自由にしたいと思う感情は理解できる。安楽死が主流になる事はないと思うが、選択肢の1つとして考慮される時代が来るかもしれない。






安楽死に至るまで:スイスで安楽死の権利を手に入れるまで

安楽死に至るまで:スイスで安楽死の権利を手に入れるまで

本書は、全国民に向けた「スイスで安楽死の権利を得るまでの手順」を学ぶための実用書です。

ここまでは便宜上「安楽死」と表現していますが、正確にはスイスで安楽死することは違法で、条件付きで自殺ほう助が合法となっているため、医療的なほう助による確実な自殺、が可能とされています。


この本では、2019年6月にNHKスペシャルで放送された「彼女は安楽死を選んだ」の舞台「ライフサークル(正確にはLife Circle内のほう助部門 Eternal Spirits。以下LC/ESと記載)」から介助自殺の権利を得た私が、LC/ESの実際のパンフレットを用いてそこに至るまでのステップを詳しく解説しています。


レビュー・口コミ

amazonuserさん

『安楽死』というと人権団体や生命倫理学者による『障がい者や高齢者など社会的に弱い立場にある者が「自分は周囲から死んだ方がよいと思われている」と感じ安楽死に追い込まれる』という反論をよく見るが、この本を読めば、それがいかにあり得ない空想であるかがわかる。

余命宣告不可の彼女のような病は緩和ケアの持続的鎮静も適用されずただ苦しみ続ける。自殺したくても体が動かず自殺すらできない。ここではそんな患者がスイスで安楽死の権利をいかに得たか、また、スイスがいかに注意深くこのような患者に『死ぬ権利』を与えているかがわかる。

筆者が安楽死の許可を得た団体は、NHKスペシャル『彼女は安楽死を選んだ』で小島ミナさんが安楽死された機関と同じスイスの"Lifecircle"。筆者が安楽死の執行を行う日を迎える前にこの本を出版したことは、誤解だらけの日本人に正しい安楽死の知識を普及することに大いに貢献する偉業とも言えるだろう。ちなみに、当該番組で放映された安楽死の条件は実際にLifecircleが提示する内容と微妙に異なっている。この部分もきちんと解説されている。

同案件を取材した宮下洋一氏は著書『安楽死を遂げた日本人』で日本での安楽死適用に反対している。しかし宮下氏は長らく外国暮らしで日本の現状と認識がかけ離れ、日本で誰かを介護した経験も介護された経験もなく、またご氏自身彼女らのような病人ではない。安楽死が反対なら、安楽死以外で彼女達を救うことができるのか?と問いたい。それができない宮下氏の安楽死に対する反論は氏の感情に基づく無責任なノスタルジーに過ぎない。また、何よりも宮下氏は安楽死を受ける当事者ではない。

本書では、宮下洋一氏の『安楽死を遂げた日本人』には書かれていなかった安楽死申請及び手続きの詳細とともに、実際に安楽死の権利を得た本人が、安楽死にありがちな一切のバイアスを除外した真実を、当事者の視点から激白している。
読者は筆者の嘘偽りない一言一言に目から鱗が落ちる思いになるだろう。貴重な一冊だ。






だから、もう眠らせてほしい 安楽死と緩和ケアを巡る、私たちの物語

だから、もう眠らせてほしい 安楽死と緩和ケアを巡る、私たちの物語

安楽死を願った2人の若き患者と過ごし、そして別れたある夏に何が起こったか−。緩和ケア医が全身で患者と向き合い、懸命に言葉を交わし合った「生命」の記録。事実をもとにした物語。


安楽死を願った二人の若き患者と過ごし、そして別れたある夏に何が起こったか――。オランダ、ベルギーを筆頭に世界中で議論が巻き上がっている「安楽死制度」。その実態とは。

緩和ケア医が全身で患者と向き合い、懸命に言葉を交し合った「生命(いのち)」の記録。


レビュー・口コミ

Amazon カスタマーさん

noteで連載中に読んでいました。
がん家系と医師に言われるほど近親者がほとんどがんで亡くなっているので、いずれ自分の身にもなにがしか起こるだろうと覚悟を整えている最中です。

ホスピスの情報も常日頃から意識して探していますが、あまりに辛いなら安楽死を願いたい。
けれど、西先生は頑として安楽死に反対をなさっている。
なぜだろう?と感じたのが、noteを読み始めるきっかけでした。
先生のTwitterも拝見しています。

もしその時がきたら。
安楽死が認められなくても、これだけ向き合ってくれる医師のもとなら、
納得しながら最後までの時間を過ごせるのかもしれないとも感じました。
でも医師は何人もの患者を担当していますから、
このような考えが寄りかかりすぎだとも理解しています。

死を望む時、今この日本では誰も答えを出したがらない。
これから、西先生が言われるセデーションの知識と技術が患者に等しく与えられることを期待しています。

purinさん

日本の緩和ケアではどういう終わり方が許されているのかなと思っていたので、鎮静という方法を使ってもらえるんだなと安心しました。しかし、患者当人の判断ではなく、他人が苦痛の度合いを決める現状であることがよく分かりました。私としては鎮静の判断を苦痛を味わっていない他人に決められたくないなと思いました。

本の最後に西先生の理想が語られていましたが、日本人の中にも欧米の個人主義に近い考えの人もいるので、個々人の希望どおりに穏やかに死を迎えることができるようになってほしいと思います。






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