厚生労働省は2022年2月9日、保険医療の公定価格である診療報酬について、4月に改定する内容をまとめました。
不妊治療の公的保険の適用範囲を体外受精などに拡大し、治療を希望するカップルの負担を軽減します。
新型コロナウイルス感染症を踏まえ、感染防止対策や有事に対応する体制をとっている医療機関への報酬を上乗せします。
オンライン診療は初診からの利用を恒久化し、報酬を対面診療の9割弱にまで引き上げます。
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不妊治療、体外受精が保険適用に
厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会が同日午前、改定内容を答申しました。
改定率は薬の公定価格(薬価)引き下げによって診療報酬全体で0・94%のマイナスとし、医師らの技術料や人件費は0・43%のプラスとします。
このうち0・2%分が不妊治療の保険適用にあてられ、今回の報酬改定の柱の一つとなります。
人工授精のほか、より高度な体外受精や顕微授精も対象となります。
晩婚化などで治療を望む男女は増えているが、高額な費用が治療開始や継続の足かせとなってきました。
保険適用で3割負担となれば、治療を受ける人が増えることも見込まれます。
体外受精や顕微授精は治療開始時点で43歳未満の女性
夫婦だけでなく事実婚のカップルも対象です。
体外受精や顕微授精は治療開始時点で43歳未満の女性が適用を受けられます。
男性側に年齢制限はありません。
報酬は治療内容に応じて細かく設定し、例えば女性の採卵は3万2000~10万4000円などと幅があります。
日本の2021年の出生数は85万人を下回る可能性があります。
この40年ほどで年間出生数は半減しました。
少子化に歯止めをかけるためにも保険適用への期待は大きいです。
診療所、1日最大7500円を上乗せ
感染症対応では、発熱外来を開設することをホームページ上で公表し、必要な感染防止対策をとっている診療所への評価を新たに設ける。
患者1人につき月1回60円を加算できるようにします。
重症患者を受け入れる病院では、集中治療室(ICU)などでの経験豊富な看護師を配置したり、感染症有事の際に都道府県の要請に応じて他の医療機関の支援を行ったりすることを条件に、1日最大7500円を上乗せできるようにします。
コロナ患者に対応する病床確保に手間取った反省を踏まえ、平時の備えを促します。
オンライン診療の初診料を2510円に引き上げる
コロナ下で特例的に解禁していたオンライン診療は、初診料を2140円から2510円に引き上げます。
対面の初診料2880円の9割弱の水準となります。
オンライン診療の報酬水準が対面より低いことが普及遅れの一因と指摘されていました。
一定の期間内に繰り返し利用できる「リフィル処方箋」を導入します。
慢性疾患で同じ薬を飲み続けている場合、医師の診察なしで薬を受け取れるようになります。
医療費の抑制や受診の効率化が期待されています。
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